We live to love and be loved! sample
「ほんっと……太刀川さんっておれを煽るの上手いよね」
「そりゃ嬉しいな。俺も素直に煽られてくれる迅が好きだぞ」
「それは褒められてんのかよく分かんなくて複雑」
迅が恥ずかしさに苦笑すると、太刀川は「褒めてるって」と喉を鳴らして笑った。その反応こそ褒められてるのか揶揄われてるのか分かんないんだよな、と微妙な心境になっていると、太刀川が頬を包んでいた手を迅の首元に滑らせて抱き込むように軽く引き寄せた。
「……分かったんなら、早く」
そのわずかに低くなった声色に、太刀川が本気で欲しがっていることが分かってしまって、「……うん」と返した声は少しだけ掠れてしまった。
ベッドサイドの引き出しから常備してあるローションのボトルとゴムを取り出して、ゴムは適当に横に置いてからボトルの中身を手のひらの上に出す。少し多めに出したそれを迅が手のひらで軽く温めている間に、慣れたもので太刀川はこちらが触りやすいように自ら足を開いてくれた。どうせやることは決まってるんだし今更恥ずかしがることもないだろうと太刀川は言うが、迅はその度たまらない気持ちにさせられるのだった。
受け入れられている。許されている。そのことを実感するたびにいつだって、新鮮に胸が詰まるような心地になる。
「さわるね」
そう予告してから、自分に向けて拓かれた身体に手を伸ばす。肝心なところに触れる前にローションでぬるついた指を会陰に滑らせると、太刀川が小さく体を震わせた。く、と戯れのようにその場所を軽く押すと、「あ、……ッ」と声を零して立てていた脚がびくりと揺れる。そんなふうに逐一反応してくれるさまが可愛くてそこを何度も愛撫してあげたくなったけれど、本当に欲しがっている場所は別にあることをよく分かっていたので迅はそのままするりと指を奧に進めた。迅の指先がその場所に触れると、太刀川は期待するみたいにわずかに目元を蕩けさせる。そのさまに迅の心臓がきゅうと音を立てたような気がした。
普段は迅が内心で悔しくなってしまうくらいに格好いいくせに、こういう時はどうしようもないほどこのひとのことが可愛く見えるのが不思議だ。可愛い、いとおしい、嬉しい――太刀川の肌に触れるたび、そんな思いが何度だって迅の指先までを巡って血を通わせる。