ナヴィガトリア――Epilogue
――それから数日経って、武富から週末のランク戦の解説を打診されたので二つ返事で了承する。もう一人は迅さんにお願いするつもりなんです、という武富の言葉を聞いて、ああなるほどとあの朝の迅の言葉に納得したのだ。
当日、隣に座ってきた迅が太刀川の方を見て、他のやつらに気付かれないようにほんのわずかに含み笑いをする。そして太刀川にだけ聞こえるような小さな声で言う。
「あったでしょ? 楽しいこと」
そう言う迅こそひどく楽しそうな目をしていて、それをなんだか嬉しく思って、「だな」とこちらも口角を上げて返したのだった。
『Navigatoria(ナヴィガトリア)』――航海を導く星。北極星。