9/24新刊「エンドロールにはまだ早い」(流花)の話

改めて、先日はBURST OUTお疲れさまでした!当日、本やペーパーをお手に取っていただけてとても嬉しかったです。
さて、当日新刊「エンドロールにはまだ早い」の裏話的な?あとがきと、この本は花道視点で全編構成していたんですが実は同じだけの分量の流川視点のプロットもあったり…本編の少し前の時間軸からのプロットもあったりする…ので、折角なのでそれを掲載しようと思います。(※プロットは別記事です)

蛇足の極みのような記事なので、全然読まなくても大丈夫な話ですし、本編で描かれていない部分は受け取ってくださった方の解釈がすべてではあるのですが、同人誌メイキング的なものがお好きな方はよければ!
(こういうの全部…言わないほうが格好いいのでは!?全部作品に込めましたスタイルのほうが格好いいのでは!?という気はしているけど、書きたかったので書きました)

ちなみに私のプロットはかなり細かくてほぼ下書き(完成原稿の「肉付け前」程度の感じ)という感じです。
以下、本編のネタバレ気にせず書きますので、未読の方は読了後にぜひ!

あとがき・裏話

製作期間

同人誌の中のあとがきにも一部は書いたんですが、この本を完成させるに至る私の時系列としては(私の記録用として細かめに書きます)
7/29夜ザファ初めて観る→7/30夜原作読み始める→8/3原作読了→翌週頭くらいにはこの話のストーリーラインがざっくりでき、プロットを書き始める→8/13プロット完成→8/22BURST OUT申込(9月発行の意志を固める)→8/27本文完成→推敲×3回→9/9入稿
覚えている範囲でこんな感じでした。ザファ初見から1か月で5万字の同人誌を作っていてウケる。頑張りました。

ストーリーや込めた解釈について

私の中の流花の解釈を形にしたい、と考えたときに「流花がどう”恋愛”になるのかを知りたい」と思ったのがこの話の出発点でした。
互いに別のベクトルで恋愛ドシロート。「互いにどう自覚するのか?」というところがまず最初の課題で、流川はまず「恋愛」に対して自分からアンテナを全く立てていないし、花道は逆に元来恋愛脳なところがあるけどその恋愛観はあまりにピュアでプラトニックでかわいらしい。
まずスタート地点が全然違って、「これが恋だ」と思っているものも全然違うと思ったんですよね。そのうえ、花道が流川に恋愛感情を抱いたとして、きっとそれはこれまでの恋愛とは全く違うものになる。
「恋」の概念のすり合わせから始めないといけないのでは…?感。それが自然とストーリーの軸になりました。

もう一つこの話を作った時点で思っていたのは、「流花が始まるのは高校卒業直前くらいからなのでは」というところで、まず原作時点の二人ではまだ意地っ張りだったりするし恋愛感情の情緒が育ちきっていないかも…高校卒業という「きっかけ」があって初めて進むのかも…と思っていて、なれそめを考えたときに卒業間際の二人が浮かんでそれが私の中でその時一番しっくりきて、それを思いついた瞬間からこの話が具体的に構築されていきました。
これ、今の私の解釈は少し違って、原稿終わった後にもう一回原作読み返した時に「流川、花道のこと初期からだいぶ好きでは…?」となり、この調子なら花道部活復帰後わりとすぐ両想いワンチャン!!?!??!という気持ちにもなりました。なのでもうちょっと早くから付き合ってる二人も…ある!!!!あと、ひとつ形にしたことで自分の中で昇華されて別のパターンを考えられるようになったというのもあるのかもしれません。そのパターンもいつか書いてみたいです。言うのはタダ。

まず、流川の恋愛感情について。これはこの後に載せる流川視点プロットで書いている部分でもあるんですが、流川は「好きだ」って思うよりも、「触れたい」とか「自分のものにしたい」とか「他のやつと喋ってるのに嫉妬する」とか、そういう具体的な欲求から「何でそう思うんだ?」と思い始めて、「好き」ということに気付くのかな、と思いました。私の中では流川は花道に出会うまで「人を好きになる」ということをよく分からないと思っていそうだなと思っていて、最初から「好き」ってピンとはこないかも…と思って。だから花道に「好き」の理由を聞かれた時、あんな物騒で天上天下唯我独尊男ぶりになる。流川というやつは言葉にするのが下手すぎる(いやストレートすぎるのか)

花道の恋愛感情については、まず自分の中にある恋愛観=ピュアピュアプラトニックな恋愛観を一度自分で突き崩す勇気をもたなければ、流川への感情を「恋愛」だと気付けないんじゃないかなと思いました。
花道は割と思い込んだら猪突猛進型だと思うのと(一度人につけたあだ名とかもそのまま貫き通したりするし)、意地っ張りなところもあるしで、自分の考えを疑って変わっていくっていうのはすぐにはうまくいかないと思うんですよね。でも原作の中では、バスケに向き合う中でそれをやってきたり…「自分は天才じゃないのか?」と疑ったり…と、揺らいで変化していく部分もある。
けどそれは流川に対しては特に頑固な部分もあるんじゃないか。1年の時の花道だったらもっと難しかったかもしれない。だけど高3で、流川と共にあれからさらに2年半濃厚な時間を過ごした花道は、原作時点よりもまた変化している部分もあるのかもしれない。
最終的には意地っ張りだった自分を認めて、自分の本音に向き合う勇気の問題になるのかな、と思いました。
花道は自分のことを「天才」って言って、それは時に自分を鼓舞する言葉でもあったりして、「格好つけたい」というか、「天才で格好いい自分でいる」、そうあろうとすることが(無意識にでも)自分のアイデンティティにもなってるのかな~と感じたりして、それは元ヤンという部分でヤンキー文化の中で中学時代を過ごしてきたこと(自分を大きく強く見せることが正義みたいな)、父親の一件もあって本当は「寂しい」って思うことがあってもそれを人には言いたくなかったりみたいな夜もあったりしたのかな、とか…そういうことを色々考えて、そのへんが花道の心情描写の根底になっていった気がします。このあたりは公園で流川を見かけるシーンでわーっと書きました。

そして少し話が前後するのですが、花道が流川への好意を自覚して流川に手を伸ばそうとするとき、個人的にどうしても昇華しておきたかったのが原作でも描かれている花道からの晴子ちゃんへの恋愛感情でした。これは、流花に向き合ううえで私は一度でもやっぱりちゃんと書いておきたかった。
晴子ちゃんの流川への感情というのはあまり本編では書けなかったんですが、マネージャーになって部を支える立場として流川含めた部員と接していく中で、流川に対する感情は「憧れ」なんだなって気付いて、いちファンとして応援していくような気持ちになっていったのかな~という思いでいます。
そして花道の晴子ちゃんへの感情もきっと似たような帰結になるんじゃないかな、って。私の流花解釈世界線の中での話です。
晴子ちゃんはその後も本当に花道が出る試合にはできるだけ行って、プロになってW杯とかで日本代表になった花道のことをやっぱり現地に行って桜木軍団と一緒に応援してほしいですね。男女の恋愛じゃないけど確かな友情、個人的にすごく好きなので、花道と晴子ちゃんにはそういう互いにキラキラしたものを抱いた素敵な関係性で、ずっと交流もあってほしいなあ。

呼び方の話。花道は原作では「ルカワ」と呼んでいますが、付き合ってからもずっと「ルカワ」なのかな?ということはずっと考えていて、それでも好きだけど個人的にはこういうのも、と思って告白の返事のシーンで「流川」表記に変わるという演出(?)をしました。
花道が「ルカワ」と呼び出したのはまだ顔も知らなかった、晴子さんから名前を聞いた時点からの呼び名の名残のカタカナ呼びで、花道は一度定めた呼び名を変えることは原作中では少ないですし、カタカナ呼びだろうがそこに花道の心情として大きな違いはないのかもしれないんですけど…晴子ちゃんも「ハルコさん」だし。でも、洋平は「洋平」だよなーとか。
これは超個人的な、この話を書いた時点での解釈の話なんですけど(今は付き合ってからも「ルカワ」呼び全然ありだな~と思ってますが、ひとつの世界線としてこういうのもあるかなってところで)、
「ルカワ」呼びはどこか偶像的な、第一印象の時の流川が花道の中にずっといる感じで、
それが、桜木花道という自分自身として「流川楓」という人間に(精神的な意味で)生身で初めて向き合った時に、誰かが話していた「ルカワ」じゃない、「流川」が花道の中で生まれるというか、本当の意味で流川という人間と向き合える瞬間なのかな、と思いました。
それがこの話で言うところの私の中で公園~告白の返事のシーンだったので、そういう気持ちであのセリフは書きました。
花道はかわいいけどいざってときは格好よくもあってほしい~!の気持ちのあの告白返事シーンでした。かっこいい受け大好き!ふとした時の男前さや格好良さでこれからも流川を不意打ちでどぎまぎさせてほしい。

さて、今回は全編花道視点(三人称単視点)で書いたので、流川の心情は「花道が読み取った範囲」でしか明確な描写ができませんでした。
つまり花道が流川のことがよくわかんねえってなってる前半部分は、流川の感情も(言ってることはわかるけど)わっかんね~~というか、もやもやとしているというか、開示し切らない感じで書いた…つもりです。流川は花道に言いたいこと言って去ってバスケしてるだけだしな…(事実を並べるとひどい言いぐさになってしまう)
で、花道の告白の後、流川が抑えきれないみたいに花道に手を伸ばしたあたりから、零れ落ちた流川の感情の欠片みたいなのが見えてきたらいいなと思っていて。
そのあたりの流川は攻めかわいい精神を込めて書いたので、流川…かわいいやつ…と思って頂けたらとっても嬉しいです。
花道に流川を「かわいい」って思わせたのはめちゃくちゃ私のヘキもあるんですけど、流川のことを「わかんねー」ってもやもや3か月悩んでた花道が、全ては分かれなくとも流川の感情にいま少し触れられたような気持ちになって、流川がどんな思いでいるかに少しだけ気付けた時に初めて流川のことをかわいいと思ったらいいなって気持ちです!

細々とした裏話など

書き出しの話

書き出し1行目の時計の描写はプロット部分ではなかったんですが、書いている途中でふと思って追加しました。「卒業までのカウントダウン」がこの話の時間的/精神的な軸の一つでもあるので、時計がビジュアル的に脳裏によぎるといいな、と思って。

キャプテンと副キャプ

プロット時点では逆でした。みんなを元気に引っ張っていくタイプの花道のがキャプテン向いてるのかな?と。でも途中で、流川も富中でキャプテン経験あるし割と慕われてたっぽいよな~と思って、実力的に決まったパターンとして流川キャプテンに変更しました。なんとなくなので深い意味はないんですけど、強いて言えば「流川を追いかけている花道」色がより強くなるかなと。でもこれはどっちのパターンもあるだろうな~と思ってます。リョーちん指名だったら花道のよさを分かったうえでキャプテン指名もめっちゃあるかもだし、逆に流川キャプテンにして花道に流川に学べ!ってケツたたくってのもあるかも。

流川の家族設定

流川に姉がいる設定は趣味です。笑。姉がいるか、一人っ子か、どっちかかな~って思っている。

流川が練習してた公園

花道と流川の家ってどのくらい距離あるんでしょうね?中学は違うから学区が違うくらいの距離はあるんでしょうけど、花道は徒歩通学、流川はチャリ通学だけど「近いから」で湘北選んでるし、二人とも学校から家近いかも。そして原作で花道が流川がよく使っているっぽいコートに行って練習もしてるし、思ってるよりお互いの家も近い可能性…?
作中で「コートが結構新しそう」って描写を入れたのはそういうところで、家近い(かも)だけど花道が使ったことないコートで練習してる流川=新しくできたコートかも、っていう、そんな感じです。ふわっと入れた設定。

一緒に登校

これも絶対入れたかったシーン!花道の夢を最後に叶えたかった。流川と一緒に。

空港はどこになるか問題

今の感覚だと羽田だと思うんですけど、この時代の羽田って国内線メインだったのでは?と思って成田発。間違ってたらすみません…。時間とかはもうよくわかんなくなって、神奈川から早起きで向かえる程度の時間…と思っての時間設定にしたんですがもうこのへんは本当にふわっと読んで頂きたく。留学先がどこの州かを決める余裕と知識もなかった。

未来のお互いの呼び方

アメリカ編では花道に「楓」って呼ばせました趣味です。正直に言ってこれは性癖強めのアレ…。だけど、推しカプすべからく下の名前で呼んで欲しいという欲は無い方なんですが、流花に関してはお互いの性格、環境(アメリカ的文化)などもあって、渡米して少ししたころに下の名前で呼び合うようになっていたらいいな~って思ってます。
このへんの話も(たぶんそんな長い話にはなりませんが)いつか書きたいという気持ちは…うっすらあるよ…

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プロットは流川視点のをほぼ全部入れたらあまりにももう本編じゃね…?になってしまったので、本を手に取ってくださった方のみ分かるようなパスワードをつけて別記事掲載とさせていただきますね。
本をお持ちの方はよろしければデザート的にどうぞ!
→プロットはこちら
パスワード:「◇ 三月――卒業式前日」の項のページ番号

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