ふと思い出したので、唐突ですが2月に出したweb再録本「all year round 2」の改めてのあとがきのようなものなど
書き下ろし1本目の「黎明」とその続きの「心搏」を原作軸の最初と最後に離して置いたの、読みにくいだろうか…というのは内心で結構心配していたのですが、どうでしたでしょうか…
この最初と最後に繋がった話を置くというのは、BUMPのアルバムの「THE LIVING DEAD」(Opening/Ending)や「orbital period」(voyager/flyby)を思い出して思いついたことでした。
web再録本を作るにあたって話は原則アップした日付順に並べているのですが、1冊目の「all year round」では私が初めて書いた迅太刀(from now on)から始まって、それが恋情の自覚~告白までの話だったので1本目としてそのまま入れておさまりが良かったんですよね。
ただ今回は完全に途中から(?)という感じになるので、そのまま並べると急に始まる感があるな…というのと、前回のメイン書き下ろし(と私の中で位置づけていた)「stargazer」が「未来に向かう話」だったから、今回は対比というか違う路線のものにしたい=迅太刀の「はじまり(現在に至るための過去)の話」を書こう、と考えました。それが今回のメイン書き下ろし「黎明」です。
で、黎明の話を考えている中で「この話の続きのふたりも書きたいな…」となったのですが、黎明という話はあのシーンで終わりにしたかった。なので書くなら話を分けようと思ったんですが、そのまま後に繋げると書き下ろしパートだけで重すぎないか?とか、この後の話に繋げるための話だったのにその中で完結してしまう感じにならないか…というのがネックで、そこで思い出したのが前述のBUMPのアルバムでした。
なのでその手法をひっそり踏襲させてもらったのですが、これ伝わるものかな~~~というのは懸念事項でした。でもあえて説明や解説なしでそのまま発行してみました。誰にも伝わってなくて「なんでこんなややこしい順番に…」と思われたかもしれませんが、そんな自己満足でした、と発行からそこそこ時間が経ったので話してみました。
この本の中では基本、明確に「続きです」と銘打った話以外は繋げて書いたつもりはないです。でも、全部私が思う迅太刀を書いたので似たようなところはあると思います。こういう収録順にしたことで、黎明から繋がったその後のふたりの話にも見えるかもしれないし、そうじゃないかもしれない。黎明と心搏の間やその先のふたりかもしれないし違うかもしれない。そんなふわっとした感じで、黎明という話がこの本に入っていくためのいいスタート台みたいなものになればいいな~と思いながら書きました。
「黎明」は、私が迅太刀にハマった初期に書いた(ワートリで初めて参加したwebオンリーで出した)「落雷に春風」と言いたかったことは共通していると思います。ある意味、「落雷~」が「黎明」のプロトタイプとも言えるかもしれませんね。(「落雷~」は1冊目の同人誌「ブルー・モーメント」のプロトタイプでもあるかもしれない。振り返ってみると、大体初期から定期的に同じようなことを小説で書こうとしている気がする)
でもあれから迅太刀について色々考えた年月を重ねたあのタイミングだったから「黎明」が書けたなと思っています。
迅太刀のオタク、迅悠一のオタクを2年(執筆当時)やってきた中で実はずっと書けていなかった(小説として向き合えていなかった)「迅悠一と最上さん」について、黎明で少しかもしれないけどようやく書けたな、というのが私の中でありました。
なんていうのかな…こうして文字で端的に言ってしまうとニュアンスが難しい気もするんですが、ひとことで言うなら「最上宗一から太刀川慶に」バトンが渡るような、いや別に本人たちはバトン渡してないし渡されてないんだけど。それに勿論迅悠一は最上さんの存在を手放したわけじゃないし。
これは「迅悠一の世界の中の他者」の存在の話で。
迅悠一の心の中で、最上さんや旧ボーダーでのことに向き合ってきた時間から、太刀川さんとの楽しい時という新しい時間にバトンが渡っていくような、迅悠一の中の時計が明確に前に進み始めるような、黒トリ争奪戦の後に迅悠一が言った「昔のおれ」の時代から「最高に楽しかった」に至るまでの間のことを考える時、私の中でそんなイメージがずっとありました。
そんなイメージが頭の中でぐるぐるしながら書いていた話です。
う~~ん、こうして言葉にするといろいろ取りこぼすニュアンスがありそうですね。だから小説で書いてるんだな。うん。このあたりはできるかぎり、小説に込めたつもりです!少しでも何か…こう…受け取っていただけていたら嬉しいです。
さて、黎明以外の話も少し。
前回は最後に気合い入れた書き下ろしを入れたので「読後感」を意識したところがありましたが(stargazerのラストの風景は私の中で「all year round」という本、そしてあの本に収録した迅太刀の「エンドロール」のようなイメージでいました)、今回は最初に気合い入れた書き下ろしを持ってきたのでラストまで重いと重いよな…というのは思っていました。でも、ラストがするっと終わりすぎるのも…と思って最後も書き下ろしを入れました。
前回のラストと今回の最初が解釈ガチガチだから、明るい気持ちで楽しめるいちゃらぶかな~!って思って、書き上げたときからweb再録本に入れる時には続きを書きたい!とずっと思っていた「楽園」の続きの話に。この書き下ろしの関係で、「楽園」は書いた時系列とは違う位置に収録しています。
でも軽めのすけべな書き下ろしにしようとしたけど、すけべ書いても解釈入っちゃうのが私なんだよな…と書きながら笑いました。だいたい「dear my eternal states」ってタイトル自体、私の迅太刀に対するまなざしが重い。でも実はこれもだいぶ気に入ってるタイトルのひとつになりましたね…
気付いたら書き下ろし6本、書き下ろしだけで計7万字という「正気か?」というweb再録本になりましたが、こ、これでも…「これ以上直視するとまた続き書きたい話が増えちゃう気がするから…!」ってセーブしたんですよ…!!でもちょっと作業期間長めにとったから…増えましたね…なんかね…… 「どうしてもこれを書きたい!」というものは全部入れ込めたので、満足です!(「楽園」と「灯」は書き終わった時からweb再録本にするときに続きを書きたいってずっと思ってたのです)
とりあえず今思い出せるのはこんな感じかな?他にもいっぱい考えていたことはあった気がするんだけど、まあ発行から3か月経ってるので多少は忘れてしまうよね…。そもそもここまでの時点で十分あとがきとしてバカ長いわっていうね…
まあとりあえずこのあたりで!