雑多 2023/07/17 Mon 小説更新しました~、と、それとは別に冒頭だけらくがきした迅太刀小説もあるのでそれは追記に投げておきますね!(こういう始まりもいいよね~みたいな… いつか着地できるといいね←プロット切らずに書き始めたけど、中身がぼんやりすぎるのでちゃんと着地させるなら改めてプロットからやらないといけない) #迅太刀続きを読む------------------ 悪い遊びに嵌まってしまっている。 その自覚はあった。もうやめにしたほうがいい、と思う。それなのにこの人に会って、ランク戦をして盛り上がってしまうと、まるでパブロフの犬みたいにその先が欲しくなってしまうようになっていた。その繰り返しでいつもずるずるとこの関係を止められないままもう何度目だろうか。もうすぐ両手でも足りなくなってしまうだろう。いや、高校時代も含めればもっと――「んん、……」 そう小さく呻くような声で、迅ははっと我に返る。太刀川がベッドの上で小さく身じろぎをしてから、薄くその瞼を上げる。まだ半分くらいしか覚醒していない様子のそのぼんやりとした目と視線がかち合って、迅はいやにドキリとしてしまった。隠しておきたい悪戯が見つかってしまった子どもみたいな心地だった。「……起こした? ごめんね」 囁くような声は、朝日もまだ届かないような薄暗い部屋の空気をほんのわずか揺らした。あんまり小さな声になってしまったから太刀川にはちゃんと届いただろうか、と一瞬不安になる。太刀川は「じん、……」とぱちぱちと瞬きをしながらこちらの名前を呼ぶ。その動作も声も普段よりずっと緩慢だ。眠いからだろう。冬で、太陽が昇るのが遅いとはいえ、まだ夜明け前だ。それか昨夜無理させすぎてしまったのかもしれない――そんな不安が過って、しかしそれに仄暗い充足感のような感情を覚えてしまいそうになる自分に気が付いて、それを深追いしないように慌てて迅はそんな思考から自分の意識を逸らした。 早く帰らないと、玉狛のみんなが起き出してしまう。それは避けたかった。どうせまた暗躍してたんだろうと疑われもせず片付けられるのだろうと分かっていても、だ。「おれもう帰るから。じゃあね、また」 また、――何だろう? と一瞬考える。そして迅はすぐに「また、本部で」と言い直した。ひらりとわざとらしく軽薄そうに手を振ってみせる。太刀川からの返事はない。また眠りに落ちてしまったのかもしれない。それでもよかった。もう少しやりとりをしてしまえば、自分はどこか名残惜しいような気持ちになってしまうことが自分でも薄々分かっていた。その唇に視線を向けないように、必死になっていた先程の自分をすぐ忘れるように努力する。玄関のすぐ横に置いてある鍵を手に取って、手早くブーツを履いて、外に出る。ひやりと刺すような冷たさが頬に触れて、それで先程までの空気も気分もあっという間に霧散させてくれるようなその寒さが今はありがたかった。 鍵を閉めて、その鍵はポストの中に入れておく。今ではすっかり慣れた手順だ。カラン、と乾いた金属音が扉の向こうでしたのを確認して、迅は太刀川のアパートを後にする。 夜明け前の薄暗い街。吐き出した自分の息は白い。 重そうな雲が遠くに見える。今日は雪が降るかもしれないと昨日の天気予報で言っていた。今日雪が降ったら、交通機関が滞る影響から一部隊員が本部着が遅れるという理由から、太刀川がシフト繰り上げで防衛任務に駆り出される未来が視えていた。そうしたら迅が本部に着く時間とは入れ違いになって、今日は会うことはないだろう。 雪が降って欲しくないのか、それとも降って欲しいのか。迅は自分でも自分の感情がよく分からなくなっていた。 迅と太刀川がこういう関係になったその始まりは、高校時代まで遡る。------------------いまのところここまで!!つづきはまたいつか…これだけじゃ具体的に書いてないからわからんか!と思ったので補足しておくと、体の関係から始まるタイプの迅太刀ってどんなかんじだろうな~って考えてみた話です畳む
(こういう始まりもいいよね~みたいな… いつか着地できるといいね←プロット切らずに書き始めたけど、中身がぼんやりすぎるのでちゃんと着地させるなら改めてプロットからやらないといけない) #迅太刀
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悪い遊びに嵌まってしまっている。
その自覚はあった。もうやめにしたほうがいい、と思う。それなのにこの人に会って、ランク戦をして盛り上がってしまうと、まるでパブロフの犬みたいにその先が欲しくなってしまうようになっていた。その繰り返しでいつもずるずるとこの関係を止められないままもう何度目だろうか。もうすぐ両手でも足りなくなってしまうだろう。いや、高校時代も含めればもっと――
「んん、……」
そう小さく呻くような声で、迅ははっと我に返る。太刀川がベッドの上で小さく身じろぎをしてから、薄くその瞼を上げる。まだ半分くらいしか覚醒していない様子のそのぼんやりとした目と視線がかち合って、迅はいやにドキリとしてしまった。隠しておきたい悪戯が見つかってしまった子どもみたいな心地だった。
「……起こした? ごめんね」
囁くような声は、朝日もまだ届かないような薄暗い部屋の空気をほんのわずか揺らした。あんまり小さな声になってしまったから太刀川にはちゃんと届いただろうか、と一瞬不安になる。太刀川は「じん、……」とぱちぱちと瞬きをしながらこちらの名前を呼ぶ。その動作も声も普段よりずっと緩慢だ。眠いからだろう。冬で、太陽が昇るのが遅いとはいえ、まだ夜明け前だ。それか昨夜無理させすぎてしまったのかもしれない――そんな不安が過って、しかしそれに仄暗い充足感のような感情を覚えてしまいそうになる自分に気が付いて、それを深追いしないように慌てて迅はそんな思考から自分の意識を逸らした。
早く帰らないと、玉狛のみんなが起き出してしまう。それは避けたかった。どうせまた暗躍してたんだろうと疑われもせず片付けられるのだろうと分かっていても、だ。
「おれもう帰るから。じゃあね、また」
また、――何だろう? と一瞬考える。そして迅はすぐに「また、本部で」と言い直した。ひらりとわざとらしく軽薄そうに手を振ってみせる。太刀川からの返事はない。また眠りに落ちてしまったのかもしれない。それでもよかった。もう少しやりとりをしてしまえば、自分はどこか名残惜しいような気持ちになってしまうことが自分でも薄々分かっていた。その唇に視線を向けないように、必死になっていた先程の自分をすぐ忘れるように努力する。玄関のすぐ横に置いてある鍵を手に取って、手早くブーツを履いて、外に出る。ひやりと刺すような冷たさが頬に触れて、それで先程までの空気も気分もあっという間に霧散させてくれるようなその寒さが今はありがたかった。
鍵を閉めて、その鍵はポストの中に入れておく。今ではすっかり慣れた手順だ。カラン、と乾いた金属音が扉の向こうでしたのを確認して、迅は太刀川のアパートを後にする。
夜明け前の薄暗い街。吐き出した自分の息は白い。
重そうな雲が遠くに見える。今日は雪が降るかもしれないと昨日の天気予報で言っていた。今日雪が降ったら、交通機関が滞る影響から一部隊員が本部着が遅れるという理由から、太刀川がシフト繰り上げで防衛任務に駆り出される未来が視えていた。そうしたら迅が本部に着く時間とは入れ違いになって、今日は会うことはないだろう。
雪が降って欲しくないのか、それとも降って欲しいのか。迅は自分でも自分の感情がよく分からなくなっていた。
迅と太刀川がこういう関係になったその始まりは、高校時代まで遡る。
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いまのところここまで!!つづきはまたいつか…
これだけじゃ具体的に書いてないからわからんか!と思ったので補足しておくと、体の関係から始まるタイプの迅太刀ってどんなかんじだろうな~って考えてみた話です畳む