雑多 2024/08/31 Sat 結婚から始まる迅太刀という妄想がふと降りてきたので冒頭だけ書きました!!!!勢いで!!!!!この時点で恋愛感情ナシ(というかお互い完全無自覚)ですが、最終的に迅太刀に着地する予定です 最終的に迅太刀になります恋愛感情自覚してるかどうかにかかわらず、お互いがお互いにとって絶対的に特別で一生唯一無二の存在だって分かってる迅太刀って………いいよね……………そんな気持ちで書きました 続きをいつ書けるかは全然分からないんですが(書きたい気持ちはある!でも書くなら同じように冒頭だけあるセフレからの迅太刀話を優先して作業したいから順番待ちに…)、とりあえずできたところだけ見て見てします~~~!※ナチュラルに大人で幹部の迅太刀です #迅太刀続きを読む--------------------「俺ら、結婚しねえ?」 太刀川の家に泊まった翌日、ばたばたと帰り支度をしながらまるで「今日の昼飯うどんにしねえ?」くらいの気軽さで投げかけられたその言葉に、迅はさすがにぴたりと動きを止めてしまった。「……………………、は?」 そしてたっぷり数秒の間のあと、返したのがそんな言葉だったのも仕方がないことだろうと思う。「ええと、何、言う相手間違えてない? まだ酔ってる?」 混乱してもはや思考停止しそうな頭をどうにか動かして迅は太刀川に問う。いや、間違えていたとして、その相手が誰なのか、存在するのかも甚だ疑問ではあるが、今の迅には太刀川が急にそんなことを言い出した理由が他に思いつかなかったのだ。昨日太刀川は迅とともに軽く夕飯がてら缶ビールを飲んではしていたものの、翌日まで引きずるほどの深酒ではなかったはずだが。「間違えてないぞ。お前に言ったんだよ、迅。他にいるか?」「いやいや、待ってよ。おれ相手で間違ってなかったとしてもさ」 頭痛がするような気さえして迅は軽く頭を押さえる。脳が処理能力を超えそうだ。太刀川とはもうすっかり長い付き合いと言っていいが、本当にこの人の言動というのは迅の予知を平気な顔して超えて突拍子もない。「そもそもおれら付き合ってすらいないじゃん」 迅の言葉に、太刀川はあっさり頷く。「そうだな」「あのー、太刀川さんっておれのことそういう意味で好きなわけ?」「いや、そういうわけじゃないけど」「ええ……」 いよいよもって話が見えない。そんな迅に、太刀川は全く仕方ないなといったような顔をする。迅が理解できていないのはこちらの察しの悪さのせいだとでも言わんばかりだ。納得がいかない。説明が足りなすぎる。おれのサイドエフェクトは心を読むとかそういうものじゃないんですけど。 腕を組んだ太刀川は、当たり前みたいに迅に説明を始める。「最近はそういう関係じゃなくても、友達同士で結婚するとかもあるだろ」「ああ……最近流行ってるって聞くやつ」 太刀川に言われて、迅は少し前にテレビで見たワイドショーを思い返す。 この国で互いの性別に依らず結婚することも可能になってしばらく経つ。制度の変化に時代的な価値観の変化が伴って、結婚という制度の使われ方が若い世代を中心に昔ほど一様でなくなってきているらしい。 恋愛関係を前提に置いた結婚がすべてではなく、結婚という制度のメリットを鑑みて、人生を並走するパートナーとして親しい友人同士で結婚をするという人も出てきているそうだ。勿論、異性婚のみが認められていた時代でもそういったことは存在していただろうが、ここ最近は結婚という制度そのものを見つめ直す動きもあって段々とそういう結婚の形も可視化され始め、いわゆる『ブーム』のような形でメディアにも取り上げられ始めている。 まあ、確かに、そうだ。結婚に恋愛は必ずしも必要ではない。迅も知識や理屈としては理解していたが、そうは言っても恋愛結婚がまだ世の大多数を占める。咄嗟に思い浮かばなくても仕方ないのではないか。 それに、いくら友人同士でもできるとはいえ、結婚というのは大事(おおごと)だ。法的なあれこれも関わってくる契約で、例えばもし結婚をしてから別の人に恋をしたり大切に思ったりして、他に結婚したい人ができたとしても重婚については認められていないし、そういう理由に限らずともやめたいとなればまた手続きが必要で離婚歴もつく。流石に、「今日の昼飯うどんにしよう」くらいの気軽さでするものではない。人生の大きな選択だ。迅はどっちにしたって頭が痛いような心地だった。 この人は、本当に意味が分かって言っているのか。この人は思いつきの直感で行動することが昔から多々あるが、それにしたって。大人になって、更に上の仕事をするようになった忍田の後を継ぐような形でボーダー本部の要職に就いた最近では、多少そういう部分も落ち着いてきたのではと思っていたのに。「こないだ飲んでてさ、そーいう話聞いたんだよ。総務のあの人も友達と結婚したんだと。ほら、こないだの本部と支部合同の新入隊員研修で世話になった――」 太刀川が挙げた名前は、確かに迅も知っている人物だった。先日の新入隊員研修のとき、本部側と支部側のスケジュールや場所の調整など色々ととりまとめてくれた人だ。「それで、あーそういうのも確かにアリだよなって思って」「はあ」 太刀川は一人勝手に納得したように頷く。迅は置いてけぼりだが気にしていないようだ。そして、太刀川は至って真剣に続ける。「俺だったらそれは迅だなって思って、っつーか結婚とか考えたことなかったけど誰かと人生一緒にするって考えたときに迅以外のやつ思いつかないなってなったから、じゃあ結婚するかって。迅と」「…………」 迅は太刀川を見つめ返す。太刀川の表情はいつもどおりのマイペースで胡乱なそれでありながら真剣で、太刀川が冗談や軽口で言っているわけではないことが分かる。分かるからこそ、迅は困ってしまった。 何に一番困っているかって、太刀川の今の言葉に、うっかり共感なんて抱いてしまったことである。(誰かと、人生を一緒に……) 迅はまだ玉狛で暮らしている。玉狛支部に住み込みのメンバーも、今では随分と減った。それは昔のような悲しい理由ではなくて、独り立ちやパートナーと暮らすといった理由で住み込みから通いに変わったり、ボーダーの外に出て自分の選んだ道を進んでいたりという理由からである。 そういう仲間たちを見送りながら、迅もそろそろ自分の将来をどうするか考えることがないではなかった。しかし今はボーダーの仕事が忙しく、充実していて、満足しているからまあいいかと考えるのを先延ばしにし続けていた。 今太刀川に突きつけられて、思ってしまったのだ。 太刀川とこれからもこんな距離感でずっといられたらいいと思う。逆に言えば、自分の人生にずっと太刀川がいてほしいと当たり前のように思っていた。そして、誰かと人生を一緒にするとなれば、太刀川以上の存在なんて迅にはひとつも想像ができなかった。 嘘だろう、と思う。先ほどとは別の意味で頭を抱えたくなった。けれどこれが紛れもない自分の本心だと何より自分が分かっている。(結婚。けっこん、ねえ……) 迅は突然提示された、考えたこともなかった選択肢を前に心の中で呟いてみる。現実感がない。現実感はないが、理由は揃えられてしまった。この手を取るのに、今や制度的な障害はなにひとつない。あとは自分の意志次第だ。「で、お前はどうだ? 迅」 太刀川に問われて、迅は思わずううんと呻く。「…………、ちょっと、持ち帰って考えさせて……」 それは無いよとその場で笑い飛ばして断れなかった時点で、正直満更ではない。天秤はもう傾いている。長年の付き合いの太刀川にはきっともうそれはバレている。この人は存外聡いのだ。 迅の返事を受けた太刀川は満足げに広角を上げて、「わかった。待ってる」と余裕の笑みで返したのだった。(できてるのはここまでです)畳む
この時点で恋愛感情ナシ(というかお互い完全無自覚)ですが、最終的に迅太刀に着地する予定です 最終的に迅太刀になります
恋愛感情自覚してるかどうかにかかわらず、お互いがお互いにとって絶対的に特別で一生唯一無二の存在だって分かってる迅太刀って………いいよね……………
そんな気持ちで書きました 続きをいつ書けるかは全然分からないんですが(書きたい気持ちはある!でも書くなら同じように冒頭だけあるセフレからの迅太刀話を優先して作業したいから順番待ちに…)、とりあえずできたところだけ見て見てします~~~!
※ナチュラルに大人で幹部の迅太刀です #迅太刀
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「俺ら、結婚しねえ?」
太刀川の家に泊まった翌日、ばたばたと帰り支度をしながらまるで「今日の昼飯うどんにしねえ?」くらいの気軽さで投げかけられたその言葉に、迅はさすがにぴたりと動きを止めてしまった。
「……………………、は?」
そしてたっぷり数秒の間のあと、返したのがそんな言葉だったのも仕方がないことだろうと思う。
「ええと、何、言う相手間違えてない? まだ酔ってる?」
混乱してもはや思考停止しそうな頭をどうにか動かして迅は太刀川に問う。いや、間違えていたとして、その相手が誰なのか、存在するのかも甚だ疑問ではあるが、今の迅には太刀川が急にそんなことを言い出した理由が他に思いつかなかったのだ。昨日太刀川は迅とともに軽く夕飯がてら缶ビールを飲んではしていたものの、翌日まで引きずるほどの深酒ではなかったはずだが。
「間違えてないぞ。お前に言ったんだよ、迅。他にいるか?」
「いやいや、待ってよ。おれ相手で間違ってなかったとしてもさ」
頭痛がするような気さえして迅は軽く頭を押さえる。脳が処理能力を超えそうだ。太刀川とはもうすっかり長い付き合いと言っていいが、本当にこの人の言動というのは迅の予知を平気な顔して超えて突拍子もない。
「そもそもおれら付き合ってすらいないじゃん」
迅の言葉に、太刀川はあっさり頷く。
「そうだな」
「あのー、太刀川さんっておれのことそういう意味で好きなわけ?」
「いや、そういうわけじゃないけど」
「ええ……」
いよいよもって話が見えない。そんな迅に、太刀川は全く仕方ないなといったような顔をする。迅が理解できていないのはこちらの察しの悪さのせいだとでも言わんばかりだ。納得がいかない。説明が足りなすぎる。おれのサイドエフェクトは心を読むとかそういうものじゃないんですけど。
腕を組んだ太刀川は、当たり前みたいに迅に説明を始める。
「最近はそういう関係じゃなくても、友達同士で結婚するとかもあるだろ」
「ああ……最近流行ってるって聞くやつ」
太刀川に言われて、迅は少し前にテレビで見たワイドショーを思い返す。
この国で互いの性別に依らず結婚することも可能になってしばらく経つ。制度の変化に時代的な価値観の変化が伴って、結婚という制度の使われ方が若い世代を中心に昔ほど一様でなくなってきているらしい。
恋愛関係を前提に置いた結婚がすべてではなく、結婚という制度のメリットを鑑みて、人生を並走するパートナーとして親しい友人同士で結婚をするという人も出てきているそうだ。勿論、異性婚のみが認められていた時代でもそういったことは存在していただろうが、ここ最近は結婚という制度そのものを見つめ直す動きもあって段々とそういう結婚の形も可視化され始め、いわゆる『ブーム』のような形でメディアにも取り上げられ始めている。
まあ、確かに、そうだ。結婚に恋愛は必ずしも必要ではない。迅も知識や理屈としては理解していたが、そうは言っても恋愛結婚がまだ世の大多数を占める。咄嗟に思い浮かばなくても仕方ないのではないか。
それに、いくら友人同士でもできるとはいえ、結婚というのは大事だ。法的なあれこれも関わってくる契約で、例えばもし結婚をしてから別の人に恋をしたり大切に思ったりして、他に結婚したい人ができたとしても重婚については認められていないし、そういう理由に限らずともやめたいとなればまた手続きが必要で離婚歴もつく。流石に、「今日の昼飯うどんにしよう」くらいの気軽さでするものではない。人生の大きな選択だ。迅はどっちにしたって頭が痛いような心地だった。
この人は、本当に意味が分かって言っているのか。この人は思いつきの直感で行動することが昔から多々あるが、それにしたって。大人になって、更に上の仕事をするようになった忍田の後を継ぐような形でボーダー本部の要職に就いた最近では、多少そういう部分も落ち着いてきたのではと思っていたのに。
「こないだ飲んでてさ、そーいう話聞いたんだよ。総務のあの人も友達と結婚したんだと。ほら、こないだの本部と支部合同の新入隊員研修で世話になった――」
太刀川が挙げた名前は、確かに迅も知っている人物だった。先日の新入隊員研修のとき、本部側と支部側のスケジュールや場所の調整など色々ととりまとめてくれた人だ。
「それで、あーそういうのも確かにアリだよなって思って」
「はあ」
太刀川は一人勝手に納得したように頷く。迅は置いてけぼりだが気にしていないようだ。そして、太刀川は至って真剣に続ける。
「俺だったらそれは迅だなって思って、っつーか結婚とか考えたことなかったけど誰かと人生一緒にするって考えたときに迅以外のやつ思いつかないなってなったから、じゃあ結婚するかって。迅と」
「…………」
迅は太刀川を見つめ返す。太刀川の表情はいつもどおりのマイペースで胡乱なそれでありながら真剣で、太刀川が冗談や軽口で言っているわけではないことが分かる。分かるからこそ、迅は困ってしまった。
何に一番困っているかって、太刀川の今の言葉に、うっかり共感なんて抱いてしまったことである。
(誰かと、人生を一緒に……)
迅はまだ玉狛で暮らしている。玉狛支部に住み込みのメンバーも、今では随分と減った。それは昔のような悲しい理由ではなくて、独り立ちやパートナーと暮らすといった理由で住み込みから通いに変わったり、ボーダーの外に出て自分の選んだ道を進んでいたりという理由からである。
そういう仲間たちを見送りながら、迅もそろそろ自分の将来をどうするか考えることがないではなかった。しかし今はボーダーの仕事が忙しく、充実していて、満足しているからまあいいかと考えるのを先延ばしにし続けていた。
今太刀川に突きつけられて、思ってしまったのだ。
太刀川とこれからもこんな距離感でずっといられたらいいと思う。逆に言えば、自分の人生にずっと太刀川がいてほしいと当たり前のように思っていた。そして、誰かと人生を一緒にするとなれば、太刀川以上の存在なんて迅にはひとつも想像ができなかった。
嘘だろう、と思う。先ほどとは別の意味で頭を抱えたくなった。けれどこれが紛れもない自分の本心だと何より自分が分かっている。
(結婚。けっこん、ねえ……)
迅は突然提示された、考えたこともなかった選択肢を前に心の中で呟いてみる。現実感がない。現実感はないが、理由は揃えられてしまった。この手を取るのに、今や制度的な障害はなにひとつない。あとは自分の意志次第だ。
「で、お前はどうだ? 迅」
太刀川に問われて、迅は思わずううんと呻く。
「…………、ちょっと、持ち帰って考えさせて……」
それは無いよとその場で笑い飛ばして断れなかった時点で、正直満更ではない。天秤はもう傾いている。長年の付き合いの太刀川にはきっともうそれはバレている。この人は存外聡いのだ。
迅の返事を受けた太刀川は満足げに広角を上げて、「わかった。待ってる」と余裕の笑みで返したのだった。
(できてるのはここまでです)畳む